プラセンタ治療とは、胎盤(プラセンタ)から抽出したエキスを用いる治療方法です。アミノ酸やミネラル、コラーゲンなどが豊富に含まれており、さまざまな薬理作用があります。
美容と健康の両面で効果が期待できるプラセンタですが、安全面ではどうなのでしょうか?
今回は、プラセンタ治療の副作用や注意点についてわかりやすく説明します。
■プラセンタの安全性
スキンケア商品に含まれているプラセンタエキスは、主に豚や馬、羊などの動物の胎盤から取られていますが、病院などで使われるプラセンタの原材料は、健康な日本人の方から提供される胎盤です。
胎盤を提供してもらう際、医師が提供者の海外旅行歴やウイルスなどの感染症をスクリーニング検査して確認します。適合した提供者の胎盤はウイルス不活化処理を行い、安全性が確認されたものだけを使用しているのです。
製造過程では、胎盤を101℃以上の高温で1時間以上、塩酸で処理してアンプルに充填します。さらに121℃の高圧蒸気で1時間以上滅菌することで、細菌やウィルス、ホルモンやタンパク質などの生理活性物質が除去されます。
プラセンタは、1956年から医療で使われ始めましたが、現在のところ重い副作用の報告はありません。
■プラセンタ治療の副作用
プラセンタ治療を受ける際には、いくつかの副作用やリスクがあることを知っておきましょう。
◎注射部位の反応
注射した場所が赤くなったり、腫れたり、痛んだり、かゆくなることがあります。ほとんどの場合、これらの症状は数日で自然に治まります。
◎アレルギー反応
プラセンタ製品の成分にアレルギー反応を起こす人もいます。重篤な場合にはアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるので、事前にアレルギーテストを受けるのがおすすめです。
◎未知の感染症のリスク
プラセンタ製品は安全基準に従って製造されていますが、理論上は未知の病原体による感染症のリスクがゼロというわけではありません。極めて稀におこる病気ですが、狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病のようなプリオン病のリスクがあります。
■プラセンタ治療での注意点
プラセンタ治療では、以下のことに注意しましょう。
◎献血・輸血の制限
2006年、プラセンタ注射を受けた方に対して献血が制限されました。
これはプラセンタ製剤がヒトの胎盤から作られるため、未知の感染症のリスクが完全には排除されていないためです。ただし、プラセンタ注射を受けた後でも、自身が輸血を受けることは問題ありません。また、家族間での輸血も可能です。
また、臓器提供も基本的には控える必要があります。ただし、臓器移植を受ける側が十分な説明を受けて同意した場合には、提供することが可能です。
◎同意書の署名について
プラセンタ注射を受けるには、医師からの説明を受けた後に同意書に署名をする必要があります。治療を受けるたびに注射のロット番号を記録します。これは、厚生労働省の指導により、同意書と注射記録を20年間保管する義務があるためです。
■まとめ
プラセンタ療法は多くの人々に利用されており、一般的には安全とされていますが、全ての医療行為と同様に、リスクや副作用が伴うことを理解しておく必要があります。プラセンタ療法を考えている方は、まずは気軽にご相談ください。